小さな
せっかくドイツにきたからビールを飲んでみたかった
今回のルートはケルンからデンマークへの長距離移動
まだドイツは行きたいこところがいくつかあるので
戻ってくる予定ではあるけれど
でもドイツにきてビールも飲まずに通過するのはなんか失礼だ
ケルン大聖堂には満足だったし
このままいい雰囲気で一日を終えたい
中心地からちょっと離れたアットホームな宿だった
まわりはオフィスビルみたいな建物しかなくてなにもない
でも
駅からホステルへ向かう途中
ひっそりと小さなバーが一件あった
外から中の様子はみえなくて
すごくはいりづらい雰囲気
でも
見かけたときからなんか気になってて
夜景を見た帰り思い切ってはいってみた
おもったとおり完全アウェーな雰囲気
小さなテーブルと
6,7席のカウンター
奥のテーブル席では常連なのか店の人なのかわからないけど
テーブルいっぱいに画材道具を広げ
なにやらペインティングをしてる
もしかしたらオープンしてないんじゃないかって言うくらいの雰囲気
でも中にはいってそのままカウンター座っちゃったし
いまさら何もなく出て行くわけにもいかないし。。
向こうからしても
いくらケルンが観光地だといっても
ちょっと中心地から離れてるし
観光客が泊まるような施設もあまりないようなところに
いかにもツーリストっていうアジア人がきたら違和感だ
とりあえずビール頼もう
こっちは小さいグラスで出てくるから
それ2杯くらい飲んで帰ろう
そう思いビールを頼んだ
熊のようなチョイ悪そうなおじさんが
ガタイに似つかわしくない小さなグラスに軽快にビールを注ぐ
出されたビールの写真を撮ろうとカメラを出し構えると
ちょっと待て!
という感じで
またビールを足した
少し消えてきた泡を足して
満タンにしてくれた
こっちのほうがいいだろう!?
っていう笑顔を浮かべながら
さあ撮りなって感じでうながしてくる
おもしろいおっちゃんだなー
さっきまでのアウェー雰囲気の緊張がほぐれた
俺も別に話好きじゃないし
その人も英語がほとんどしゃべれないようだったから
そのあとは特に話すこともなかったけど
でも
さっきよりは楽な雰囲気でいられた
いっぱい目を飲み終わって
さー
2杯目飲んで帰ろうかな
って思って注文した
2杯目をのんでると
そのおじさんがピーナッツを出してくれた
今まで食べたことあるものよりも小ぶりで
程よく塩味が効いてた
しかもけっこう量があった
出されたものは残すのは悪いし
かといってこれ全部食うのは
サービスしてくれたんだし
もう1杯飲むかと
ちょっといい気分になってきたし
3杯目を注文
もしかしてこれが狙いだったのか!?
とちょっとかんぐったけど
でも
グラスいっぱい1.2ユーロだし
それはないか
旅中ほとんど飲むということがなくなって
もとから酒にも弱いから飲むときは気をつけないといけない
200mlのグラスだから二口くらいで終わっちゃうんだけど
なるべくペースを落として
ピーナッツをかじりながら
ゆっくり味わった
3杯目とピーナッツがいい感じでなくなっていくように
交互にへらしていって
さあ
仕上げだって思ってビールを流し込んだ
そしたら
そのおじさんが
ビールうまい?
って感じで聞いてきて
うまかったよ!
って言って帰ろうかな
なんて思ってたら
うまかった!って言われてうれしかったのか
再びビールを注ぎ
これは俺のおごりだから
という感じで出してくれた
しかも
いい感じで頑張って減らしたピーナッツも笑顔で補充された
ここまでされちゃー
いろいろしてもらいっぱなしでかえるわけにはいかない
ってことで
そのあともう1杯頼んで
結局2杯で帰るつもりが5杯になってた
でも
全然言葉が通じない人と
なんとなく一言二言でコミュニケーションとりながら
こういうやさしさに触れるのってなんか久しぶりだ
向こうからしたらもうこないであろうツーリストに
そんな風にサービスしても得になることはないだろうに
これが粋ってやつなのかな
損得勘定だけじゃ人は生きていけないよな
バーの帰り
夜風は冷えたけど
ほろ酔いであったまった体にはちょうどよかった