愛することの見返りは愛すること
彼女を失った俺は
旅への準備を進めることにした
旅をすることが残っていることがうれしかったし
これも先のことは考えずに
「今なにをもっとも望んでいるのか」を選択した結果
自分で切り開いてきたこと
やってみたらなんとかなるし
ここまできてまだ旅をするという選択肢が残っているということは
もう何がなんでも達成させたいって思ったし
そういう運命なんじゃないかとすら感じる
でも
そんな矢先
そう
彼女と別れてまもなく
俺はまた人を好きになった
同じ日本食レストランで働いていた
日本人の女の子
彼女もワーホリでNZに来ていて
ちょうど同じ時期から働きはじめたということと
歳が同じということもあり
話しやすい相手ではあったけれど
でも特別親しいわけではなかったし
仕事先以外では話すこともない
むしろ仕事してるときも
特に話しているわけでもない
それに
何がきっかけにそう思うようになったかも覚えていない
自分でも戸惑っていた
別れたばかりで気が動転してるんじゃないか
本当に好きなのか
ただ寂しいだけなんじゃないのか
自分でもよくわからなかった
それでも
日がたつにつれて
彼女のことを考える時間は増えていったし
あー
たぶんこれって好きってことなんだろうなって
思えるようになっていった
前の彼女との関係を通して
人を愛せる人になっているっていうことなんだろうって実感できた
でも
いざ
そうなってしまうと
そのままでは終われない
旅に出たい
はやく出なきゃって思ってた
NZからヨーロッパへ飛ぶことは決めていたから
ヨーロッパが寒くなる前に行きたい
もともとNZへは
前の彼女との日程調整のために来ていた部分が大きかったし
そのころはフルに働いているわけではなく
家賃と食費やらを払ったら手元に少し残るくらいの給料だった
お金が貯まるわけでもないのに
長居はしたくない
このころ
すでに日本でやりたいことの方向性が見えかかってきていたから
早く帰りたいっていうこともあったし
年齢的なことも考えてもそれほど時間があるようには思えなかった
でも
新たに出てきた気持ち
その子が好きだということ
俺の中の太郎が叫ぶ
何を望んでるんだ?
彼女のことをあきらめて旅に出るという選択肢は
自分でコントロールできることにある
でも
それでいいんだろうか?
俺は旅をしにきてるわけじゃない
旅を通して
自分を成長させたいと思っているし
これまでの自分がそうであったように
「やりたいことではなくできそうなこと」を選択していく自分を変えたくて
旅ということを選択した
じゃあ
旅にでることで
「できそうなこと」を選んでいるんだったら
結局それはただの旅でしかなくなってしまう
それに
今ここで
彼女をあきらめて旅に出るという選択を取ってしまったら
俺が去年
フィリピンで下した決断はなんだったのか
ってなってしまう
せっかく
不確定不透明な未来への未知だとしても
自分が「これだ!」って思ったら
そこに飛び込んでいける自分になりかかっていたのに
また
俺は自分で自分を引っ込めてしまうのか
たぶん俺が取らなきゃいけない選択は自分で分かっていたんだと思う
それに
この数日で
ほんの数日かもしれないけれど
俺の中では彼女が好きだと確信をもっていたし
俺としては
別れたばかりだから人をすきなっちゃいけないわけじゃないし
人を好きになるのになんて理由なんてないし
出会ってからの時間の長さとか親密さなんて二の次
好きなもんは好きなんだって思う
ただ
状況としては
俺は別れたばかり
そして
運よく彼女も別れたばかり
でも
運悪く別れたばかりとも言えるかもしれない
んで
これまで
さんざん前の彼女をいかに俺が好きなのかを
目の前で語っていた手前
別れたとたん
自分はあなたが好きなんです
なんていったところで
信用してもらえるだろうか
いくら俺が好きなもんは好きなんだ
っていったところで
信用できません!!
っていわれちゃうのがオチな気がする
さあ
どうしようか
旅へいざなわれる狭間で
彼女への思いは募っていき
伝えたいと思うけど素直になっていいものか悩ましいい状況
今までのことが試されてる
結果は自分で選べないけど
今何するかは自分で選べる
人を愛するということと
今にかけるということ
こういう
難しい決断こそ俺が求めていたものなのかもしれない
かといっても
その中にいたらそんな余裕はなく
いたずらに過ぎていく日々と
どうしようもできない現実に
もんもんとストレスをためながらすごしていった
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